フェアリーテイル 第499話 感想
第499話「グレイとジュビア」
インベルの魔法・アイスロック。
それによりグレイとジュビアは殺し合いを強いられることとなってしまった。
そしてどちらかが死ぬまで、絶対に解放されることはない。
「(キズつけたくないのに・・・)」
どんなに抗おうとしても体は勝手に動いてしまう。
グレイがジュビアを殴り、ジュビアがグレイを蹴り・・・。
間もなく戦況は傾いていく。
「(やはり計算通り勝つのはグレイ)」
インベルの計算、そして思惑通り、グレイが圧倒し始める。
やがてグレイはジュビアを殺すだろう。
自らの手で仲間を殺した罪は、彼を闇に染め上げる。
ENDを倒す究極の戦士へと・・・。
ゼレフの側近であるインベルには悩みがあった。
それは、ゼレフとその弟・ナツとの関係だ。
いつも首から下げているペンダントに兄弟の写真が収められていることからも、ゼレフが今でもナツを大切に想っていることは間違いない。
しかし、ゼレフはアクノロギアを倒してこの世界の全てを手に入れる存在。
それにはENDは邪魔過ぎる。
だからこそグレイを、ENDを倒す者に仕立て上げようというのだ。
残された僅かな意思の中で、ジュビアはこの戦いを終わらせる方法を模索していた。
グレイを傷つけるなどあり得ない。
だがグレイに殺されるという選択も無しだ。
そうなってはグレイはきっと自らを責めるだろう。
ならば答えは一つ。
「(そう・・・自ら命を断つ)」
その答えに迷いは無かった。
アイスロックは心を閉じ込める魔法だ。
だが、
「この想いを閉じ込めておくにはジュビアの体は狭すぎるんです!」
ジュビアは右手から水を放出し、高く掲げる。
「出会えてよかったです、グレイ様」
それが別れの言葉。
水を刃のように尖らせ、ジュビアは自らの腹を貫くのだった。
「バカな・・・自らの命を・・・」
ジュビアの行動はインベルにとって予想だにしないものだった。
しかし驚きはそれに留まらない。
グレイも同様に、氷の刃で自らの腹を貫いていたからだ。
グレイの闇を解放し、ENDを倒す存在に仕立て上げようとしているインベル。
その理由はやはりゼレフだった。
アクノロギアを倒して世界の全てを手に入れるゼレフには、ENDは邪魔な存在だという。
これってさ。
以前にもアイリーンが指摘していたけど、ゼレフの甘さなんだろうなぁ。
親しい者、それが例え血を分けた兄弟であったとしても、ゼレフに愛は必要ないということなんじゃないのか。
「この想いを閉じ込めておくにはジュビアの体は狭すぎるんです!」
体の中には収まり切らない、溢れんばかりのグレイへの想い。
このジュビアのセリフには何か凄い納得しちゃった。
そして。
前話のラストからも、ジュビアが自ら命を断つことは匂わせていたが。
まさかグレイもだなんて。
ちょっとちょっとびっくりしたぞ、結構な衝撃だったぞ。
傷つけたくない。
その強い想いがもたらしたのは、グレイとジュビア、二人の死という結末だった。
「おまえを・・・守りたかった・・・のに・・・」
「いいえ・・・嬉しいです・・・グレイ様」
こんなハズじゃなかった・・・。
ジュビアを守り、生かすことがグレイにとっての希望だった。
だがそれも叶わない。
「(頼む・・・ナツ・・・オレたちの仇を・・・)」
薄れゆく意識の中、グレイはその望みをナツへと託した。
グレイとジュビア、二人を繋いでいた鎖は砕かれた。
しかし、互いに自らの命を断つという選択は、インベルの理解を遥かに超えている。
「(計算外・・・です・・・)」
動揺は隠せない。
だが、ゼレフのためにもENDを始末する必要がある。
グレイを失った今、その役目はインベル自らが果たそうとしていた。
戦場に転がる二つの死体。
だが、生きていた。
意識を取り戻したのはグレイ。
確かに死んだはずだが・・・?
徐々に意識を取り戻していくと、体の中の妙な違和感に気付く。
「(オレの中にジュビアの血が・・・!?)」
“水造形-ウォーターメイク-血-ブラッド-”。
グレイにもしものことがあった時に備え、ジュビアが覚えていた輸血魔法だ。
彼女は死の間際、自らの水を血に変えて輸血することで、グレイの命を救ったのだった。
その水・・・血と共に、ジュビアの想いが流れ込んでくる。
「ジュビアはグレイ様の中で生きていきます」
だから悲しくはない。
「ジュビアの命はグレイ様のものだから」
体の中から痛いほどに感じられる、ひたすらに真っ直ぐで純粋なジュビアの想い。
「おまえの事もっと真剣に考えるから・・・起きてくれよ・・・頼むよ・・・」
だがグレイがどんなに泣こうと叫ぼうとも、ジュビアが目を覚ますことはなかった。
ENDを倒すべく、ブランディッシュの後を追うインベル。
そんな中で彼は、突如として背後から強烈な殺気に襲われる。
振り向くと、そこには死んだはずのグレイが立っていた。
こんな結末があるのかよ。
どちらかではなく、グレイとジュビア、二人の死。
だけど、ジュビアは自らの水を血に変え、輸血することでグレイの命を救った。
大切だからこそ命に代えてでも守る。
そして同時に、愛する人の中で生き続けることが出来る。
何だろう。
悲しいけどジュビアが幸せそうだからもう何も言えないわ。
次回のサブタイ。
第500話「炎と氷」
複雑な気持ちを抱えたまま、次回は記念すべき第500話。
流れとしてはグレイvsインベルになりそうなんだけど。
サブタイ的にはナツとグレイ?
共闘でもするのかな。
でももうインベルはグレイ一人で倒しちゃいそうな雰囲気。