フェアリーテイル 第519話 感想
第519話「笑顔を見せて」
迫りくる隕石。
被害の拡大を防ぐため、エルザはその破壊を試みる。
あまりにも無謀な挑戦だ。
だがエルザには一切の迷いは無く、決死の覚悟で刀を振るう。
その気迫溢れる一撃は奇跡的にも隕石を爆散させるのだった。
「(こんな事・・・ありえるハズが・・・)」
信じられない光景を目にしたアイリーンだが、動揺してばかりもいられない。
エルザが次に刀を向けたのはアイリーンだからだ。
とはいえ、ドラゴンと化した彼女の鱗はそう簡単に斬ることなど出来ないが。
しかし・・・
「エルザさんの・・・剣に・・・“滅竜属性”を付加・・・」
意識を取り戻したウェンディによる的確なサポートを受け、エルザは落下の勢いを利用して一閃。
大きなダメージを負ったことで付加術の維持が出来なくなったアイリーンは元の姿へと戻るのだった。
無理を重ねたエルザは地に伏したまま動くことが出来ない。
対するアイリーンは辛うじて立ち上がり、エルザが落とした刀を拾い上げる。
散々手こずらせられたが、それも終わりだ。
「もうあきらめなさい」
倒れるエルザに刀を向け、アイリーンは勝負の決着を確信した。
ところが。
エルザが不意に見せた口元の緩み・・・笑みが、アイリーンの感情を揺さぶり始めた。
・・・30年近く前のこと。
ゼレフの力添えにより人間の姿を取り戻したアイリーンは、ついに子供を出産した。
だがアイリーンには未だ滅竜魔導士としての呪いが宿る。
それを捨て、新しく生まれ変わる・・・子供は全人格付加するための器だ。
400年。
気が遠くなるほどの月日を重ね、様々な苦痛を耐え抜いた末に訪れたこの日。
しかし、抱いた子供が見せる汚れない笑顔が、アイリーンの気持ちを揺るがせる。
「躊躇してはダメ!これは当然の権利。この子は私のものだめの、私が好きにしていいハズ」
そう自らに言い聞かせるアイリーンだったが、結局、目的を成し遂げることは出来なかった・・・。
隕石、爆散!
やってやれないことはない。
というか、エルザならやってしまえるよね。
そして続け様のアイリーンへの一撃。
ウェンディ、素晴らしいアシストだったよ!
明らかになったアイリーンの真実。
エルザへの全人格付加は行ってなどいなかった。
やろうとしていたことは間違いない。
だけど生まれてきたエルザが笑う顔を見て躊躇してしまったのだという。
そうだよ!400年だよ?
全人格付加はごく最近になって思いついたことであって、それまではずっと大切に守ってきたんだもん。
母親としての愛情、その深いところは簡単には変わらないんだよ!
倒れるエルザが見せた笑み。
それはまだ諦めていないことの証だった。
アイリーンが向ける刀が自らの体に突き刺さることも厭わず、エルザは残った力を振り絞り、飛びかかるように頭突き。
不意の一撃だ。
だが、
「まだ・・・詰めが甘いわね」
頭を揺らす衝撃を受けながらも、アイリーンが膝を突くことはなかった。
再び倒れるエルザ。
ところが、背中の左側から突き刺さっていたはずの刀が消えている・・・?
「ここよ」
刀はまたもやアイリーンの手に握られていた。
そしてそれは再び振り上げられる。
・・・が、アイリーンがその刀で貫いたのは自らの腹だった。
「情けないわ・・・帝国最強の女魔導士の私が・・・自分の娘だけは・・・殺せないなんて・・・」
生まれたばかりのエルザへの全人格付加は失敗した・・・という話は嘘だった。
子供への愛おしさを感じたアイリーンは全人格付加を止め、その決心が鈍る前にエルザを捨てていたのだ。
「(・・・なんて言っても信じてもらえんだろうな)」
アイリーンにはもはや真実を話す気など無かった。
だが戸惑うエルザには一言、
「そなたが笑ったせいね・・・」
エルザが見せた笑みが、アイリーンに思い出させたのだ。
「そなたを愛してた事を・・・」
母娘の戦いに幕を下ろしたのは、母としてのアイリーンの感情だった。
アイリーンvsエルザ。
母娘の戦いは思わぬ幕切れとなった。
自分の娘だけは殺せない。
今も昔も変わらない、アイリーンの母としての感情だったんだ。
複雑な思いが込み上げるけれど。
それでも、憎むだけじゃなくて良かったよ。
自分の子供を憎み、親に憎まれ続けるなんて悲しいものね。
さて、アルバレス帝国最強の女魔導士・アイリーンとの戦いはこれで終わった。
残るスプリガン12は?
オーガスト
アジィール(vsエルフマン、リサーナ)
ジェイコブ(vsミラさん)
これだけだっけ?
次回のサブタイ。
第520話「竜か悪魔か」
ナツかな?
ナツだな!